● ● ● わ に の に わ ● ● ●

音楽やペット、スウィーツ、仕事、介護などを通じて、日々の色々な出来事をつらつらと書いてます。

薄茶色の瞳の中に私の影が映っている。

私のほうを見て、私の頬を触っては自分の顔にその手をあてるすてっき。

何度も繰り返す。

あいているほうの手を包んできゅっきゅっと握る私。



薄茶色の瞳の奥には何が記されているのだろう。

現在のことだろうか。

遠い昔のことだろうか。

薄茶色の瞳に映りこむ影。

私は歯をきゅっと見せてにこっと微笑む。



最近は少し元気になってきたすてっき。

それだけで無条件に嬉しい。



すてっきがいる一人用のギャッヂベッドに潜り込み、少し横並びになって添い寝をする。

ひっついて、一緒にテレビを見ているふりをする。

とても狭い空間だが、自分の身体が触れていることで、色々な不安を少しでも和らげるとが出来たらというのが本当の目的である。

その意図を知ってか知らいでか、少し目尻が垂れて、口角がきゅっとあがる。

耳が遠いすてっきがよく理解できるようにと、スケッチブックによく使う言葉とイラストを描いた。

ひと通りの身の世話をするに際して、描いていくと30枚くらいになった。



ひと通りの介護を終えて、翌日のディケアの準備も終えて帰る頃、「また来ます。おやすみなさい。」の紙を見せる。

すてっきの目尻が垂れる。



何度もおでこをさすって、何度も手をきゅっきゅっとしておやすみを言う。

すてっきが私の手を握る。

おやすみを言って、名残惜しそうにしているのは本当はすてっきではなく自分だということを、最近痛感する。



すてっきの笑う顔は家族にとって、小さな幸せのかけら。



実家を出ると、心地よい夜風が首のあたりをさらっていく。

色々な、言葉に出来ない思いが夜空に映し出される帰り道。

そして、乗客の少なくなった電車を乗り継ぎ、家路へと向かう。



途中、大きな駅の改札で、二人の中年男性に遭遇した。

改札を出て、互いに反対の方向へと消えていったが、とてもいい笑顔で別れの挨拶を交わしていた。

その笑顔を見て、私の足取りが軽くなった。



1日の最後に僅かばかりでも笑顔でいられることは、この上ない幸せなのだと思う。


日々こうした小さな幸せを紡いで、自分は生かされているのだと思う。
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